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よろず日誌。

書庫 スピカ よろず日誌。 2018~書庫
By 雪花=風




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狐火⑤ :: 2017/10/13(Fri)

お土産はよもぎ餡。

 朝ぼらけの中。

 せっせと動くのは帝。

 人の帝とはだいぶ違う。

 端午節の来月に向けて、よもぎと菖蒲を蘭を摘んでいるのだ。

 どれも宮中の神殿で帝自身が育てなければならない物で、
 少しでも人任せにした帝は多くの自然災害にあってきた。

 悪戯好きでも今の帝もきちんと育てている。

 一方、帝の叔母や母君たちも後宮で蘭の花を育てている。

 これも端午節に合わせてのこと。 

 貴族の娘達もあの人見知りが激しい兵部卿宮の一人娘まで
 其れを手伝いに来ている。

 どちらも沢山有ればあるほどいい。

 鬱蒼とした森林のような草を見つめる帝。

 検霊府では新種の蘭が公開される。それもまた楽しみだ。

 だが、端午節の主役は子供。

 子供達にとって貴重な体験になる一番の年中行事は。

 帝と同じ、蘭の湯に浸かれる事。

 蔵人所から近い大衆屋(公共の湯屋)で大きな湯が焚かれ、
 帝が育てた蘭が浮かべられる。

 そして、お土産に配られるよもぎ餡の美味しさときたら。

 思わず、帝もよだれを出すほどの美味しいものだ。 

 期間中、菖蒲は貴族の子供は枕元に飾り、
 庶民は菖蒲を敷いて寝て、無病息災を祈る。

 それから、稲荷院の蘭が別の家に届けられるような事があると
 これは意中の合図でそのまま交際することもある。

 これは人の通い婚の人とは違う習慣であった。

「隼人、こっちこっち」

「待ったか?」

「いいや、さっき来たところ」

 彼らは隼人が帝だとは知らない。

 水衣(みずごろも)も麻を用意してある。

「もぐりっこしようぜ」

「それよりお宝探しといこうじゃないか」

「人多いぞ」

「多いから面白いんじゃないか」

 蘭の石鹸石、蘭の桶、蘭の布なども持ち帰れる。

勿論、そのままお湯に入っているわけではない、
 目印は木札。

 女の子はこよりの籤箱が家々に回されてくる。

「せーの」

 がらがら。

 ばーん。

 一同は一目散に湯へ突っ込むのだった。

  1. 企画用臨時置き場※狐火
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